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新市長の所信表明を聴いて

12年6月14日

 32の議会傍聴席がいっぱいで入れない市民が一階ロビーのテレビの前に並んだがいかにも狭い。急きょ議場近くに作った傍聴室には40名余の市民が議会中継のテレビ画面を食い入るように見つめた。

 石川清新市長への関心と期待の大きさを物語る風景だ。議場に入るために早い方は午前8時に来たという。

 新市長はかみしめるように選挙時に述べた公約を要約して述べた。弱者にやさしい福祉のまちづくり、市民の要求が何であるのか、その真意の把握なしに行政は進められない、坂戸市民参加条例の枠をさらに超えて市民参加を展開したい、などなどの部分は大変爽やかに心に響くものであった。

 議会傍聴に多くの市民が足を運ぶことも重要な市民の市政参加であることを感じた。

 今年度予算は前市長の提案ですでに組まれている。来年25年度予算で新市長の施政方針が具体的に試される。大いに熱く見つめたい。

緑町 今野 強


平成24年度施政方針

 平成24年第3回坂戸市議会にあたり、ごあいさつを申し上げます。

 先般の市議会議員一般選挙において見事当選なさりました皆様方には心からお祝いを申し上げます。本市発展のためご活躍をご期待申し上げます。

 議案説明に先立ち、私の市政運営に取り組む所信の一端を述べさせていただき、市民皆様をはじめ、議員各位のご指導、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 私は4月15日執行の市長選挙におきまして多くの市民の皆様のご支援により当選させていただき、5月12日付をもちまして市長に就任させていただきました。本日、新たな立場で本議場に立った訳でございますが、多くの市民の方々への感謝の気持ちと与えられた責任の重さをひしひしと痛感し、身が引き締まる思いで一杯であります。

 伊利前市長におかれましては、社会経済情勢が激変する中にあって、12年の長きにわたり坂戸市政発展のため、ご尽力を賜りましたことに深く感謝の意をあらわす次第であります。

 私は平成8年に坂戸市議会議員に当選して以来、4期16年の議員活動を通して、多くの市民の皆様と対話をさせていただき直接対話することの大切さを学んでまいりました。そうした経験の上に先般の選挙期間中には、閉塞感ただよう坂戸市の現況を変えていくため、市政のありようや進め方を変革し、老いも若きも安心して暮らせる坂戸市を創設し、次世代を担う子ども達に引き継ぐため、一生懸命汗を流すことを約束いたしました。

 私のまちづくりの基本とする考え方は、行政サイドではなく住民サイドに立った市政を行うことであり、身近な市政、身近な市役所をつくりあげることであります。市民の気持ちがそのまま市に伝わり形になる。そんな仕組みが理想であり、大衆迎合ではなく、市民と市役所が信頼関係で結ばれることであります。

 それでは、私の目指すまちづくりの方向性と、施策について順次述べさせていただきます。

 一点目は、「市民サービスに徹した市役所づくりと行財政改革」であります。私は市長とは坂戸市と市民のために働くサービス業であると思っております。

 そして、市民にとって住みやすい街にすること、明るく楽しい街にすること、市民を幸せにすること、市民を裕福にすることが市長の仕事であります。

 まずは、市役所の姿勢を正すことから始めます。職員には強く意識の改革を求め、人事・給与支給のシステムを最大限活用して民間並みにしてまいります。職員相互の研鑽を進めるような職場に改善するとともに、全ての職員がそれぞれの能力を最大限に発揮し、市役所の業務は市民のためのサービス業であると云う意識改革を積極的に進めるため、職員との対話を通して市民目線に立った市政運営を推し進めてまいります。

 財政面では、特に健全な財政運営に裏打ちされた市政運営が基本中の基本と考えます。本市の場合、継続して行われた地方交付税の減少に対応しきれず、身の丈を超える予算編成を続けてきた結果、市の預金にあたる基金は枯渇し、平成21年度においてはご承知のとおり年度途中で財源確保が困難となりました。一部事業については執行停止となるなど、市政執行に赤信号が点灯する事態となりました。私が何より危惧したのは、そのような危機的状況にある中、歳出面での事業調整を怠り、歳入を過大見積りする傾向にあった、いわゆる「財政運営のモラル」が低下したことであります。

 今後、専門家による臨時の特別監査の導入を検討し、課題を見つけてまいります。歳入に見合った歳出におさえ、身の丈にあった予算編成をしてまいります。

 財政運営の目標としては、一定の財源確保が必要不可欠であると考えます。まず、4年間で財政調整基金の残高を40億円にすることであります。

 また市有財産の有効活用を行うとともに土地開発公社を清算し、余剰財産について市に移管することについても検討してまいります。

 健全な財政運営のためには、徹底した節約と歳入、歳出の見直しを行う必要があり、職員全体でその意識を共有し、実行することが求められております。私自身の給与削減は勿論のこと、職員には一定期間の給与カットの協力を視野に入れているところであります。

 なお、職員給与カットにつきましては、労働組合及び職員組合と誠実に交渉し理解を得るよう努力してまいります。

 二点目は火葬場建設の取り組みであります。現在、本市の高齢化率は21パーセントを超え、既に超高齢社会となっております。今後団塊の世代が高齢期に入ることから、高齢者人口が急増することが予測されます。

 しかしながら、人生の最後を飾る火葬場施設は、近隣自治体に依存したまま何ら進展していないのが実情であり、多くの市民の皆様が本市の大きな行政課題であると捉えています。私は単独設置方式ではなく、広域静苑組合に加入させていただくことが本市の取り組むべき姿勢であると考えます。過去において加入に向けて協議を進めてきたようでありますが、さらに誠実に誠心誠意その姿勢を貫き、一日でも早く広域静苑組合加入が実現できるよう全力で取り組み、市民皆様のご期待に応えてまいる所存であります。

 三点目は子どもの教育の充実であります。財政再建と同時に、次代を担う人づくりは大切な課題であります。私は長年小学校中学校の登校時のあいさつ運動を毎朝続けてまいりました。「おはよう」、「こんにちは」のあいさつや「ありがとう」の気持ちを理解し、人のために尽くすといった、当たり前のことができる子ども達に育ってもらいたいとの一心で続けてまいりました。こうした基本的な人間教育を土台に、子どもの素質や可能性を伸ばし育てていくことが何より重要であると考えます。今の社会は家庭や地域が担ってきた教育機能が著しく低下し、いじめや不登校、未成年者による痛ましい事件が増加し、子ども達を取りまく環境は一段と深刻化しています。

 私はこれらの問題を直視し、「おもいやり」、「感謝」、「あいさつ」といった人として当たり前のルールを身につけ、より良い社会をつくる主体であるという自覚と行動力を育てるとともに、自らがやる気を起こさせるような子どもの教育を推し進めてまいります。

 そのために、行政はもとより、家庭、地域及び学校と密に連携しながら、あらゆる機会をとらえて子どもの教育の充実に取り組み、併せ必要な子育て支援に取り組んでまいります。読み・書き・そろばん・暗記等基礎学力の向上を徹底して行ってまいります。また、子どもにはお金をかけていきます。

 四点目は市民参加型の開かれた市政づくりの取り組みであります。

 市民皆様の要求が何であるのか、その真意の把握なしに行政は進められません。坂戸市には行政計画を策定する際には市民参加の手続きを制度化した「坂戸市市民参加条例」がありますが、私はその枠をさらに超えた部分においても市民参加による市政を展開したいと考えています。

 先ほど申し上げましたが、私は長い期間多くの市民の皆様と対話させていただき、そこから市政を理解いただくことの重要性と直接対話の大切さを学びました。しかし、私ひとりの対話だけではおのずと限界があります。そのためには行政全体が市民とのつながりを大切にすることが必要と考えます。私を含めた職員は地域に目を向け、市民との直接対話を通して真に市民と議論ができるよう、その土壌づくりに努めてまいります。市民皆様の要求は何なのか、そのために行政は何をなすべきなのか、また、どんな課題があるのか、徹底した情報公開を行いながら行政各分野において、様々な立場の市民皆様の声に耳を傾け、真に市民本位のサービスを提供し続けていけるよう、開かれた市政づくりを進めてまいります。市民の声をしっかりと聞き、市民の満足度を高める質の高い行政サービスを提供していきます。

 五点目は、地産地消の取り組みであります。農産物はもとより、社会経済活動において、すべての分野に、この地産地消は当てはまると考えます。行政執行として行う市の発注業務においては、すべての分野にこの地産地消という考え方を取り入れることで市内の経済活動を循環させ、雇用を生み出し、さらに地産地消が継続するというまちづくりを推進してまいります。技術的に馴染まない一部公共工事などの分野は例外としても可能な限り、この考え方に沿った行政執行に取り組んでいきます。

 六点目は、弱者にやさしい福祉のまちづくりであります。

 特に高齢者や障害者対策の充実が重要と考えます。安心で、明るく、楽しく暮らせるまちとなるため、お年寄りや障害者が働ける場所をつくるとともに、憩える場所の提供や障害者向けスポーツの振興を図ってまいります。また、通院や生活の足の確保として、バスやそれに代わる新たな公共交通の導入を進めてまいります。

 申し上げましたこれらの内容は、私の市政運営に取り組む所信の一端でありますが、平成24年度坂戸市一般会計予算及び特別会計予算は、既にご議決をいただいておりますことから、その執行に努めることとし、これらの施策につきましては、平成23年度決算の動向や現年度歳入の財源確保の状況等を見極めながら、今後の定例市議会へのご提案も視野に入れてまいりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。また、平成25年度予算編成につきましては、これらの施策を具体化するための予算方針を今後策定し、新年度の予算編成に反映してまいります。

 今後、市議会の皆様とは素直に話し合い、お互いに知恵を出し合える建設的な関係を築き、開かれた市政を展開してまいりたいと考えております。

 どうか議員各位におかれましては、今後の市政運営に対し格別のご支援ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。また、市民皆様におかれましては、市政に注目していただくとともに、積極的にご意見をお寄せいただき、多くの市民の声を拝聴しながら開かれた市政を実現するため、坂戸市と市民のために働く市長として、思いやりのある住民にやさしいまちづくりを推進していきます。

 以上、申し上げ、私の市長就任に当たっての所信表明とさせていただきます。

 ご静聴ありがとうございました。

  平成24年5月30日

坂戸市長 石川 清

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